2007年08月04日

高高度フライト

鳥のように飛ぶ
14:00頃、それまで強かった風がだいぶ落ち着いてきたとのことで、「そろそろ行ってみますか!」とKさんから声がかかった。
雲が少しあるが、濃い夏の青空が広がっている。
再び車に機材を積み込んで、お昼前に立ち寄ったテイクオフへ向かった。

自分とかみさんはタンデムフライトが目的であったが、朝から来ていたベテランさん達は、自分達の訓練フライトのためにテイクオフに上がる。
彼らはすでに、一人でフライトができるだけの技術を身につけていて、山頂のテイクオフと、地上のランディングにいる2人のインストラクターから、無線で指示を受けながら飛ぶそうだ。
無線機はクラブの備品であるトランシーバを借りることもできるが、アマチュア無線の免許を持っていれば、自前のハンディ機を持ってきてもよい、とのことであった。

自分も免許とコールサインを持っている。
かなり長い間使っていない、机の引き出しに入っているハンディ機を思い出し、次回は持って来てみようと決めた。
また、スピーカとマイク(ヘッドセット)はヘルメットの中に組み込まれており、PTT(しゃべるときに押すスイッチ)は、ヘルメットの前方少し右上に付いている。
無線機は専用のかっこいいケースに入れて、ハーネスの一部に取り付けられるようになっている。

テイクオフに着いた。標高が高く、風もあるのでクラブハウスがあるところよりもだいぶ涼しい。
スクール生の人たちはバタバタと自分の機材の準備を始めた。
無線のチェックやグライダーの展開を手際よく進めていた。
タンデムフライトの我々はといえば、インストラクターのチェックを受けながらハーネスやヘルメットを装着する。
グライダーはインストラクターの方々が広げてくれた。
タンデム用のグライダーは、シングルのものより一回り大きかった。大人の体重を2人分吊るのだから当然である。

「じゃあいきますか!」と心の準備も整わないうちからKさんに声をかけられた。
ベテランさんがテイクオフから飛ぶ様子も見てみたかったので、「少し見ててもいいですか?」と見学させてもらうことにした。
(決して怖いから時間を稼いだわけではない。)
車で色々話しかけてくれたOさんが、自前のグライダーとヘルメットで離陸準備を完了した。

アウトドアグッズ専門店


地上側にいるインストラクターと、テイクオフにいるインストラクターが無線でやりとりをし、風の様子を見ながらOさんに注意事項を何度か伝える。そしてインストラクターからOKの合図が出されると、Oさんは無線で「テイクオフのOです。行きます!」と元気よく宣言し、ばさばさっとグライダーを立ち上げて谷底方向へと飛び立った。いいなぁ...。
少し谷のほうへ降下したが、うまく風に乗ってランディング方向へと翼を向けて行った。

「さぁ、覚悟はできましたか?」とKさん。「いつでも大丈夫です。」
先に、別の機体のかみさんが離陸することになった。
先ほどのOさんの時と同じように、しばらく無線でぶつぶつやった後、ふわっとかみさんのグライダーが空へ。
続いて自分も、Kさんの「いきましょう!」の声とともに、2、3歩走って山から飛んだ。




生まれて初めて見る景色
大変な感動だった。
出張や旅行で、旅客機には結構乗っているし、セスナや小型ヘリの遊覧飛行も何度か体験したことがあるが、これは今までにはない感じである。
足は完全に宙ぶらりん、はるか下に山があって、木や道路や家がある。
足の下、真下が丸見えだ。
正面から心地よい風がすーっと吹いてきて、地上の賑やかな騒音もない世界。
斜面でのふわっと体験も感動したが、このとき味わったこの感覚は、おそらく一生忘れられないだろう。
だって、生身の体が丸出し(裸ではない)で、空を飛んでいるのである。
走っている車の窓から顔を出すと、風の音がごうごうとうるさいが、これはそよそよという感じだ。
ハーネスで体が締め付けられて痛い、などという事も一切なかった。
同じグライダーにぶら下がって、後ろで操縦しているKさんに色々聞いてみた。
パラグライダーは、とばしても時速30kmくらい、とのことだったので、全然会話ができる静かさだ。
離陸した場所「テイクオフ」と、地上の着陸地点「ランディング」との高度差は約500m。
結構高く、下にいる人たちが見えるが誰だかわからないくらいの高さ。車は色・形の判別ができるくらいの高さである。
タンボで農作業をしている人たちが見える。

今週のレース


気付くと右前方100mくらいのところに、かみさんのグライダーが、ほぼ同じ高度を同じ方向に向かって飛んでいるのが見えた。
「おーい!」と叫んでみるとこちらを振り返った。
空中で、生の声で会話ができるってわけであり、これも飛行機では難しいことである。
しばらくかみさんのグライダーと並走した後、かみさんはランディング方面へと向かった。
Kさんから「どうですか?この感じ!!」と聞かれた。
「完全にはまってしまいそうです!最高です!!」
ただひたすら感動。
ふと気付くと、さっき飛び立ったテイクオフが、だいぶ下のほうにあることに気付いた。
Kさんがうまく上昇風に乗せて、高度を少し上げたのだった。
テイクオフ上空に差し掛かると、スクール生のみなさんが、離陸のための準備をしているのが見えた。
手を振ると、皆が手を振って返してくれた。

途中、操縦を少しやらせてもらった。左右の旋回操縦を体験しつつ、すでにかみさんが降りているランディングエリアに向かった。
「足は突っ張らずに柔らかく降りて、軽く走ってください。」と言われ、Kさんの上手なランディングの後、たたたっと少し走って無事着陸した。




夢から現実へ
それまで体の周りをそよそよと吹いていた、涼しく気持ちのいい風が急にゼロになり、地上の猛暑が一気に襲ってきた。
2本の足に、自分の体重もしっかり乗っかった。
これらによって、夢の世界から現実世界に一瞬で戻った。
でも気持ちはまだ空の上にあるようで、感動が体から離れずにぼーっとした感じだった。
最初は全然興味が沸かないと言っていたかみさんも、予想外の感動に浸っている様子だった。
雑誌でしか知らなかった機材のことが、今回の体験によってよく理解でき、またなによりも、比較的簡単な操縦で自由に空を飛べることを今日1日で実感し、自分の決意はほぼ固まっていた。
インストラクターの方々と一緒にグライダーをたたみ、持ち運び用のバッグの中に押し込んで、ハーネスと一緒に抱えてクラブハウスに戻った。
冷たい水をいただき、またテーブルでくつろいだ。
この時点でもまだ夢見心地状態であり、かみさんによれば、自分はしばらく、ニヤニヤしていたらしい。
しばらくしてKさんがテーブルにやって来て、体験フライトを証すると印刷された、きれいな記念証書をくれた。




再び夢の世界へ
その後雑談をしばらくして、ついに自分は「やります!」と宣言したのだった。
自分がパラグライダーパイロットを目指して、第一歩を踏み出した瞬間だった。
このスクールでは、体験や訓練を受けるためのコースがいくつか用意されており、今回のように1回または数回のフライトを体験して「はいさよなら」というコースと、まとまった訓練費用を支払って、長期で通って訓練を積み、最終的にライセンスを取得し、一人前のパイロットになることを目的とするコースの、2つに大別されている。
今回はとりあえず前者を、というつもりで訪問したのだが、長い間の曖昧な気持ちとさよならをして踏ん切りをつけた自分は、後者を申し込む決意をしたというわけである。

スカイスポーツに関して、初めて「いいなぁ、やってみたいなぁ。」と思ってから20年目の決意である。
大蔵省であるかみさんも、自分の長年の夢であることを知っていたので、「しょうがないわね。」とすんなり許可をくれた。

さて、本格的にライセンスを取るためには、自前の機材が必要である。
というより、自分で何度も飛ぶためには、毎回レンタルというわけにはいかない。

スキーだって毎年レンタルで滑るよりも、本格的にやりたいのならば自分の機材を揃えてしまい、体になじませながらやったほうが上達するのと同じである。
どこのスクールでも大差はないようだが、ここでもインストラクターが推奨する、初心者向けの機材を買い揃えて訓練する、という方式でやっている。

自分が着る衣服はもちろん自前だが、それ以外に必要な機材が色々ある。早速見積もりを作成してもらった。
(機材の詳細はカテゴリ「必要なもの」を参照ください。)





自分の気に入ったデザインのものを選んで電卓を叩いてもらう。
値引きも含めて総額約60万円。
う〜ん...。これは立派に高い買い物だ...。
まさに大人のおもちゃ。
この他にも、腕が上がって高く、遠くまで飛べるようになってくると、高度計や昇降計のようなものや、GPSなども欲しくなるらしい。
また誤って木の上に降りてしまったときのための、脱出用キットなどなど。
初期投資としては結構まとまった金額であり、お財布からぽい、というお値段ではない。
でも空を自由に飛ぶ手段の道具としては、一番安あがりと言われているパラグライダー機材一式の価格である。
イニシャルコスト、ランニングコストをトータルしても安いのではないか。
この金額を支払うことを決意したことによって(というか、かみさんに許可をもらって)、20年に渡って続いた「もやもや」とも、おさらばしたのであった。
久しぶりに大きな金額の買い物をしたという、罪悪感に似た感覚と、これから自分は、自由に空を飛ぶための決意をしたんだという期待感とが入り混じった、複雑な気持ちを持ちつつ撤収した。

とても感動し、全然興奮が冷めなかったこともあって大変な長文になってしまいました。
最後までお読みくださってありがとうございました。
また、大変お疲れ様でした!





posted by masa at 21:30 | ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 1.体験コースへ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
スポンサードリンク